仕事を辞める。
基本的にこの文にはネガティブなイメージがあると思います。あまり楽しい気持ちやおもしろい気持ちにはならない。
そのような気持ちになるのはなぜなのか。
仕事にせよ、結婚にせよ、「やめる」ことはそんなに悪いこと?
やめることに罪悪感を持ったり、不安に陥ったり、情けなくなるようならこの本を。
前向きになれるかもしれません。
ジュリア・ケラー(著)、児島修(翻訳)
著者はピュリツァー賞受賞ジャーナリスト。
大学で博士課程にいるときに壁にぶつかったことがこの本を書く土台になりました。
仕事や結婚に限らず、学校や習い事に通い始めたものの、うまくいかずに退学したり、退会したりすることはありますよね。
いくら周りの目が気になったとしても、本当につらいときには逃げた方がいい。
そこで築いてきた人間関係が終わってしまうとしても、今の状態がよくないなら前に進んだ方がいい。
SNSで仕事のやりがいや結婚生活のポジティブな面を発信してきたのに、それをやめることになれば、どんな反応が返ってくるかわからない。そんな不安があったとしても、自分の気持ちに正直になって、「自分が決める」ことを大切にする。
そういった考えを裏付ける事例が数多く掲載されています。
やめることは、方向転換をすること。
やめることで、新しい人間関係が作れる。
動物は、やめることを躊躇しない。
生き残るために、最善の道を選ぶのは自分!
一方、やめたことを後悔する場合もありますよね。
そのような例も紹介されています。
やめるべきか、もう少しがんばるべきか。
その判断をするのは難しいけれど、(SNS発信してきた人はそれに惑わされず)自分が生きていくために心から望んでいることは何なのか。
それがはっきりすれば、選択できるかもしれません。
やめることで誰かに迷惑がかかると考えるかもしれませんが、人生の可能性が開けて、キャリアチェンジなどを成功させた人たちの経験が多く紹介されていて、勇気が出ます。
「忍耐」「グリット」「レジリエンス」などの重要性はもちろん認識した上での生き残り戦略です。
なお、悪習慣をやめるための力に関しては記載されていません。
個人的には仕事も結婚も今のところ継続していくつもり。
子どもも今のところ高校を退学する気配はない。
でも、状況や気持ちが変わったときには、「やめたい」という気持ちを安易に否定するのではなく、正面から向き合っていきたいと思いました。
著者のTED Talksが公開されています。
英語はとてもきれいな発音でわかりやすいです。
日本語の自動翻訳をつけて見ることもできます。間違いもありますが、6割程度は理解できると思います。
推薦文と目次:
訳者あとがき:
転職、離婚、中退、途中棄権など、人生のさまざまな「やめどき」について考えさせられる一冊です。
やめようかどうしようか悩んでいる人の背中を押してくれると思います。