終活をはじめるにはまだ早い年齢なのですが、よい機会があったので法名をいただくことにしました。
法名はお葬式のときにご住職からつけていただくことが多いと思います。
(なお、うちは浄土真宗本願寺派。浄土真宗以外では「戒名」と呼ぶと思いますが、以下、基本的に同じことと思って読んでください)
葬儀のときに住職に渡すお布施に法名をつけていただくときの謝礼が含まれていると思います。
今回、法名をいただくことにしたのは、ぶっちゃけ経済的な理由からです。
私が死んだときに、どの葬儀会社に頼まれて、どういった形でお布施が支払われるか予想がつきませんが、一般的に法名は生きているときにいただく「生前法名」の方が安い。
将来、子どもの負担を少しでも減らしたいので、この点を聞いてから生前法名に興味を持っていました。
自分の葬式代くらいは準備しておきたいと思うけど、実際に支払い手続きをするのは私の子どもになる可能性が高いので、その時に少しでも安いに越したことはありませんよね。
そんなわけで法名をいただくため、京都の西本願寺に参拝しました。
法名をいただくには「帰敬式(ききょうしき)」という式に出る必要があります。
基本的に1日2回(午前と午後)にあり、当日受付で申し込めます。
もし、法名に使ってほしい漢字があれば、事前に申し込みが必要です。
よくあるのは今の自分の名前から一字を使ってほしいという希望。
その場合は、別料金をお納めします。
私はお任せで構わないと思ったので当日、窓口で申し込んで1万円を納めました。
こちらの龍虎殿という建物で申し込みます。
簡単な申込書をその場で記入。
私はその後、ランチを食べて、集合時間に合わせて戻りました。
事前説明のあと、御影堂(ごえいどう)に移動。
式を済ませて、法話を聞き、法名をいただきました。
所要時間は小一時間だったと思います。
同じ時間帯に申し込んだのは合計4名でした。
私以外は見た感じ、高齢者と呼ばれる年代の女性。
その中のお一人とすべてが終わった後に話しました。
その方は動機として自分が死んだ後にいくら良い法名をいただいてもわからないし、自分の名前の字を使ってほしかったとおっしゃっていました。
そのため、希望した漢字を使った法名を受け取って、満足していらっしゃいました。
わたしは特に自分の今の名前にこだわりがなかったのでお任せコースでしたが、結果的に私も周りも納得できる法名をいただけたので満足しています。
あとで聞いた話では、葬儀のときにいただく法名は住職の好み(個性、故人との相性、土地柄など)があらわれるので、それがよい方向に表れるか、あまり納得のできない方向に表れるかはある意味賭けの部分があるそうです。
西本願寺は浄土真宗本願寺派の本山。
その本山で選んでくださる法名なら、それまでの所属寺やご住職との関係(しがらみ)などとはまったく切り離され、経典から選ばれるので、まず間違いないとのことでした。
私の場合、どんな法名でも、取りあえずあればよいといった程度の認識でしたが、それでもあまりよくないとされる字が死後につくのは気持ちがよいものではないので、これでよかったと思います。
この和紙に、私に授けられた法名が書かれた和紙と、その由来や説明が書かれた紙が入っていました。
お任せにすると、仏教の経典から取った名前になるので、どの経典の何ページにある文で、どういった意味の文章かという説明が書かれています(希望する字がある場合、この説明書きはありません)。
数珠など記念品もいただけました。
帰敬式の様子をYouTubeで探してみたのですが、これが一番コンパクトでわかりやすい気がします。
「おかみそりの儀」というのは帰敬式の中で行われる儀式の1つです。この動画の場合、西本願寺で成人式が行われ、その時に帰敬式も実施されたようです。
なお、動画でお盆のようなものを受け取って、後ずさりするシーンがありますが、私はこれを頼まれてしました。
多分、受付順に頼まれるのだと思います。
話をした参加者の方も早くに受け付けをしたから文章を読む係を頼まれたとおっしゃっていました。
どちらの係も事前説明があるので心配はいりません。
式のあとは少し観光。
国宝の唐門です。
きれい!
阿弥陀堂(国宝)
その後、「報恩講(ほうおんこう)」という法要に参列。
報恩講は、親鸞の命日(1月16日)に合せて行われる法要。
浄土真宗の法要の中では一番大切にされているもののようです。
といっても、外国人観光客っぽい方も座っていらっしゃいました。
誰でも見ることができます。
数多くの僧侶の読経と雅楽の演奏があり、なかなか迫力があってよかったです。
法要の様子はYouTubeで中継もあります。
少しかげってきた御影堂(国宝)。
そこから移動して龍谷ミュージアムに行きました(道を隔てて向かいにある)。
実は、そもそものきっかけはこの展覧会に行ってみようかなと思ったことでした。
「眷属―ほとけにしたがう仲間たち―」【龍谷ミュージアム】
仏教美術で眷属、つまり仏のそばに使えている従者などにスポットを当てたシリーズ展。
はじめて龍谷ミュージアムに行きましたが、ゆったりと味わえてよかったです。
たいていの部分が撮影禁止だったのですが、こちらの「ベゼクリク石窟大回廊復元展示」はOK。
現地(新疆ウイグル自治区)ではすでに破壊されている壁画が美しく再現されていました。
回廊をめぐる疑似体験もできてよかったです。
美術館に行くだけのつもりだったのが、大きな法要がちょうどやっているならそれにも行こうかということになり、どうやらそのときに法名ももらえるようだとわかったので1日にまとめました。
結果として法名をいただいたことがその日一番大きな出来事になりました。
京都駅から近く、便利なところにあるので、ご興味あれば京都観光のついでに参加できると思います。
希望の字がある場合は事前に申し込みが必要なので、詳しくは上記リンク先をご確認ください。
宗派によって細かな手続きは違うはずなので、詳しくはご自分の宗派を確認して、それに沿って調べてみてください。