おもしろいし、泣けるエッセイです。
著者は日本語の文学作品を訳す著名な韓国人翻訳家。
村上春樹、恩田陸、朝井リョウなど数多くの日本人作家の作品を韓国語に訳しています。
1ヵ月に1冊ほど訳すそうで、これはすごいスピード。
日本人が英語から訳す場合、3~4ヵ月に1冊程度という目安を聞いたことがあります。
もちろん本の長さなどによってまちまちでしょうが。
日本語力がかなり高いのはもちろん、とにかく翻訳が好きとのことでずっと訳していらっしゃるようです。
すごいな。
ずっと座りっぱなしで運動をせず、こもりっきりのところは日本人の翻訳者と変わらないかも。
ただ、ちゃんと契約書を交わしてから翻訳作業を始めるというところは、日本と違うかもしれません。
日本では、改善の動きがあるとはいえ、一般的に発売日近くになってようやく契約書が交わされることが多いと聞きます。
書面で契約書がなくてもメールなどでやりとりがあれば、それは法的に有効らしいですが、韓国ではどうやらちゃんと事前にやりとりするのですね。
そんな違いを学びつつ、でも娘さんとのやりとりなど、著者の周りとのやりとりがあたたかくて涙腺の緩む本でした。
出だしの「プロローグ」にある謝辞の部分で既に涙ぐんでしまったので、どうなることやらと思いましたが、声に出して笑える部分も多く、あっという間に読み切りました。
韓国に興味のある方、翻訳という職業に興味のある方、1人でできる仕事を探している人にお勧めです。
ひとりだから楽しい仕事: 日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活
クォン・ナミ (著), 藤田 麗子 (翻訳)