アメリカの雑誌『THE NEW YORKER』の校正担当者がつづるエッセイです。
歴史ある雑誌の校正者となるまでのいきさつや、働きながら出会った人々や言葉などについて詳しく書かれています。
約4年前に出版されたときから気になっていた本なのですが、先月、同じ著者が新しい作品(日本語版)を出したこともあって、まずは一冊目からと思って手に取りました。
著者の個人的な体験で、この雑誌とは関係のない部分なのですが、代名詞で人を呼ぶのは失礼だと発言した人のエピソードが出ていて、これについては参考になりました。
具体的には、自分の母親のことを "She" を使って話すのは失礼だからやめるようにと言った父親の話です。
私も日本語で「あなた」「彼」「彼女」を使うと見下すニュアンスがでる場合があると感じてきました。
そのため、避けられるときはできるだけ避けています。
英語にそのようなニュアンスはないと思っていたのですが、同様のことを感じる人がいる(ちなみに著者はそのように思っていませんし、単に一個人の意見だと思います)と知ることができたのは参考になりました。
文法やパンクチュエーションなどについて、この雑誌ではどのように扱われているかなど、独自の方針も書かれているので、「ニューヨーカー」という雑誌に興味がある方にはおもしろいかもしれません。
私は正直、そこまででもなく、アメリカの校正者の日々を知るためのエッセイとしては専門的な内容が多く、かといって英文法を学ぶためには個人的な思い出のページが多すぎて、少し読みにくい感じがしました。
でも、二冊目が翻訳されているといるので、それなりに人気なのだと思います。個人的な感想ということで、よろしくお願いします。
人それぞれ好みですが、個人的には、出版業界者の自伝か、英文法の解説かどっちかに振り切れた方が読みやすい気がしました。
Amazonでの評価はよいので、ご興味あればチェックしてみてください。
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GREEK TO ME カンマの女王のギリシャ語をめぐる向こう見ずで知的な冒険